パナソニック自動車部品事業の買収検討理由(3)

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パナソニックの津賀社長は、自動車部品事業の買収を検討していることを発表しています。パナソニックが自動車部品事業のM&Aを検討している理由は、Tier2からTier1の企業に急いで成長する必要があると考えているからのようですね。

(1)ハイブリッド自動車や電気自動車のスタートアップ期

前回、パナソニック津賀社長の自動車部品事業とフォルクスワーゲン(2)について見ましたが、パナソニックの自動車部品事業の拡大について見てみましょう。
5年前といえば、ハイブリット自動車(HV)や電気自動車(EV)といった環境対応車が世界的に立ち上がり始めた時期である。だが、この時点でパナソニックの自動車部品事業はほとんどカーナビ、カーオーディオで稼いでおり、こうした分野の投資はないに等しかった
パナソニックの自動車部品事業は、家電事業から派生した事業が主力であり、環境対応車向けは出遅れていたようですね。

(2)カーナビのコモディティ化と新規事業投資

カーナビはコモディティ化で価格が下落し、参入企業も増えている。リーマンショックがなくとも天井は見えていた。環境車向けの事業をなんとしても軌道に乗せなければならない。津賀氏は、赤字をだしながらも新規事業への投資に踏み切った。
カーナビは価格の下落だけでなく、スマホの普及により、無料のカーナビや地図が普及しています。パナソニックの津賀社長は、新規事業への投資と同時に、人的資源の拡大を行っていたようですね。

(3)パナソニック技術者の採用と人的資源を新規事業に

並行して、社内の人的リソースも大きく新規事業に移した。技術開発の時間を買おうと、社外から広く採用した。横浜・鴨居の事業所の裏でトヨタなど自動車メーカーと共同でEV実験車を作り、関連商材を試作した。
パナソニックは、社内と社外から人材を採用して、環境対応車の開発を急速に進めたようですね。パナソニック自動車分野に投資(1)を行う方針ですが、三洋電機から買収した自動車部品事業以外にも、投資や共同開発の成功があることが分かります。

(4)自動車業界の慣行でTier2止まり

08年度からすすめてきた環境対応事業は、ようやく売上高1500億円規模(電池除く)となった。ただ、部品単品を、1次サプライヤーを通じて納めるケースが多い。いくら優れた商材でも、自動車メーカーに直接納めなければパナソニックの発言力は限定的だ。
自動車業界は、大手自動車メーカーの企業規模が巨大なため、自動車部品メーカーの企業規模も数千億円から数兆円規模と巨大ですので、パナソニックは規模が比較的小さいと言えます。

自動車業界の慣行は変わりつつありますが、大手自動車メーカーは、Tier1の自動車部品メーカー以外は取引が困難と言われており、パナソニックは孫受け企業の可能性もあります。

(5)買収により自動車部品事業の取引拡大を視野

だからこそ津賀社長はM&Aをしてでも高付加価値のシステム化した商材を増やし、顧客に食い込みたいと意気込む。「時間を買うということも必要だ」
パナソニックの津賀社長が、M&Aによる事業拡大を検討しているのは、Tier2では大手自動車メーカーとの交流や共同開発が限定的に留まるため、規模拡大を目指しているのではないでしょうか。パナソニック自動車部品事業の競争力が高い(4)に続く。
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